育つぶ 『育て方を進化させるとき』
お湯は赤、青、白
パパの楽しみの一つ。ちびとのお風呂。
洗面器に入ったお湯を見て、「おゆの いろは しろだねー」とパパにアピールするように伝えてくるちび。
それはお湯の色じゃなくて…と言おうとしたのを思いとどまった。
じゃあスコップに入ってるお湯は何色?と聞くと、しばらく考えた後「あかー」とニッコリ答える。そうだね、アンパンマンカラーの赤だね。じゃあバイキンマンの方は?「あおー」。バイキンマンカラーは黒とか紫だけど、これはなぜか青だね。
じゃあ、みんな同じお湯なのに、洗面器に入ってるのと、スコップのと熊手のとはどうして色が違うのかな?と聞いてみた。
ちびは少し真剣な顔をした後「わかんないー」とこれも笑顔で返してくる。
ちびに考えさせる
そうか。ちょっと難しいね。
じゃ質問を変えてみよう。
ここ(洗面器)に入ってるお湯の色は? 「しろー」
アンパンマンのスコップは? 「あかー」
バイキンマンの熊手は? 「あおー」
じゃ、お湯の色は、何色?
笑顔で、元気よく「しろと あかと あおー」
そうきたか。当たり前だ。
ちびはまだ無色透明なんていう概念を知らない。だから分かるはずもないのだ。
元気よく答えるちびを見て、こういう純粋さが素晴らしいなとしみじみ感じた。
大人の世界ではこうはいかない。羨ましいとさえ感じる。
いつか気づいて、自分で考える
ここでふと思った。
ちびは無色という概念を知らないせいでお湯が色付きだと言ってるわけじゃない。単純に、ちびの目に見えていることを、ありのままに口にしただけだ。
何の意図もない。ただ、言っただけ。
大人にはこれができない。
なぜなら、お湯は無色であることを知っているから。
ちびの言ったことは正しくない。でも、そのことを知識として教えてしまったら、単に知識しか増えない。ちびがいつの日かお湯の色について疑問に思い、本当のことを追求する機会を奪ってしまうことになってしまうのではないか。
だから今は、ちびにとってのお湯は白であり、赤であり、青であっていいんだ。
いつの日か、今まで思い込んできたことが違うと気づく。そして、何が違うのかを考えて、自分の力で本当のことを知る。そうやって自分で世の中の謎や不思議を感じて、解いていくことが、ちびにとって力になる。
これまでは、知識を与える教え方をしてきた。
でも、最近のちびの発言や行動は、これまでとは違う成長局面に入ったと感じさせる。ちびが、自分で考えていると見られる場面に出会うから。
だから、これからは、今までの育て方を進化させるときなんだと気づいた。ちびが自分で考えることができるような育て方に。
今日帰って時間があったら嫁にも話してみよう。
誰にでも分かるような何かがあったわけじゃない。でも、これがこどもから発せられるサインというやつなんだろうか。
親は、いつだってこどものことに敏感でいなきゃいけないな。